生成り(キナリ)について

こんにちは 生地の森 です。
今回は「生成り(キナリ)」について

「生成り(キナリ)」の生地は人気があります。
最近は環境に優しいライフスタイルを好む志向の影響もあって、
自然な風合いと素朴な魅力に惹かれて、ナチュラルな雰囲気を好む方が多いと思います。

この「生成り(キナリ)」という言葉、
本来色名ではないことをご存じですか?
そこで「生成り(キナリ)」についてご紹介してきたいと思います。

〈目次〉
①「生成り(キナリ)」とは
② 生地の森が「生成り(キナリ)」生地を使う理由
③「生成り(キナリ)」生地の難しさ
④「生成り(キナリ)」の生地の価値
⑤ 知ってほしい 生成り(キナリ)生地のメリットとデメリット
⑥「生成り(キナリ)」生地のお手入れ

①「生成り(キナリ)」とは

以前まで「生成り(キナリ)」とは色の名称だと思っていました。
しかし「生成り(キナリ)」とは、
手を加えないそのままの状態を指すので、色の名前ではないのです。
本来の意味の「生成り(キナリ)」とは
綿や麻など農作物の天然素材のありのままのことで、
糸や生地は漂白や染色など、何もも加えていない状態のものを指します。

ミシン糸など縫い糸に生成り(キナリ)とありますが、
綿や麻・リネンの生成り(キナリ)とは大きく違います。
縫い糸にあるポリエステルという化学繊維の生成りは、
白い糸から染色して生成りの色に加工したものです。
しかし、綿や麻・リネンの生成り(キナリ)とは、原料となる農作物そのもの。
本来の生成りとは、色合いはさまさまで、生産地や土壌、収穫の時期などにも
影響されて、もともと統一されたものではありません。
綿や麻・リネンの天然繊維の糸を良く見てみると、
黄味がかった色から茶味に濃い色とさまざまに混ざり合っています。

生成りのリネン糸

②「生成り(キナリ)」生地を使う理由

生地の森は、なぜ「生成り(キナリ)」生地を作っているのか。
それは、「生成り(キナリ)」は天然素材本来の素材そのものだからです。
素材そのものから引き出される姿が自然の美しさを形成するからです。

③「生成り(キナリ)」の生地の難しさ

「生成り(キナリ)」の生地を織る糸とは、天然繊維特有の植物の破片などが混入し均一ではありません。
そのようなばらつきのある糸は非常に織りにくく、一度にたくさん織ることが出来ない上に織られた生地にもばらつきが出るため、染色加工にも影響していきます。

一般に世の中に多く出回る工業製品は、消費者に認められるため、
厳しい品質基準を保たなければいけません。
綿や麻の天然繊維に関して言えば、衣料品の繊維製品に使われる生地は、
大量の服を、色ぶれ、異物、織キズがなく仕上げなければいけないので、
ばらつきのある「生成り(キナリ)」の糸は使えないのです。
そのために何をするかというと、化学薬品を使って幾重にも加工処理され、
ばらつきをなくし、漂白して白くした糸が使用されます。
ばらつきのない糸は織りやすく、生産効率も上ります。
生地は均一な面に仕上がり、染色・加工をするにおいても非常に安定しますので、高い品質基準を保つことが出来て、消費者に提供することが出来るのです。
綿や麻の天然繊維は、言ってしまえば素材本来が持っている特性をほぼ失ったものこそが高品質とされているのです。

④「生成り(キナリ)」の生地の価値

しかし、生地の森は逆を行くものです。
天然素材の本来の性質を壊さないよう、最小限の加工にとめ、
漂白をしないばらつきのある「生成り(キナリ)」を使います。
「生成り(キナリ)」の糸は、本来天然の農作物ですから、黒っぽいものや、
茶色っぽい植物の破片などが混入します。
良く見るとささくれが入っていたり、一本の糸の色もまばらだったり、
触ってみると太さも均一ではありません。
そのようなばらつきのある糸は非常に織りにくく、生成りの糸を織れるのは、
素材の特性を見極めた熟練した職人に限られます。
丁寧に織り上げた生地でも欠点は出やすく、生地にもばらつきが出るため、後加工の際も非常に不安定に現われたりもします。
それでも、そのばらつきこそが、何とも言えない豊かな表情を形成し、独特な雰囲気を生みだすのです。
品質の高さを求めるために、化学薬品を使って加工処理を幾重に行われた生地では本来の味は絶対に復元しません。

実際に今「生成り(キナリ)」の生地を織るのは国内だけです。
効率がどんなに悪くても、品質が劣るといわれても、そこに変えられない素材の味や雰囲気に価値があるとわたしたちは信じているからです。

生成りのリネン生地

⑤知ってほしい 生成り(キナリ)生地のデメリットとメリット

〈デメリット〉
・強力な化学薬品の処理、漂白も染色もしないため、黒や茶色っぽい植物の破片などが混入してるので、生地面には色味や質感にばらつきが表れやすくなります。
・本来天然の農作物なので、生産地、土壌や収穫の時期などに影響されて色合いはさまさまに表れます。統一された色ではありません。
・生産ロットの違いで色味の差も現われます。継続してお使いの場合は色合いの違いをご了承ください。

生産ロット違いによる色合いの差 左より濃淡が見られます。

〈メリット〉
・漂白も染色も強力な化学薬品の処理がないため、身体に安全です。
・天然素材本来の自然な風合いと素朴な味わい、雰囲気が楽しめます。

⑥「生成り(キナリ)」生地のお手入れ

・お洗濯の際に、蛍光増白剤の入った洗剤を使用して、何度も洗濯を繰り返すと、白色に変色し自然な色素を損なう原因になりますので、ご使用はお避けください。

生成りの洋服
 綿、麻、綿麻など素材によって生成りの色合いもさまざま

最後に…

「生成り(キナリ)」の生地は、天然の素材そのもの。

生地の森では、あえて均一にする化学薬品の処理加工をせず、素材本来の味を大事にしています。
漂白も染色もしていない、素材本来の色を生かしておりますので、生産地の日照時間や天候、収穫時期によって色味の変化が出ることがあります。
植物の破片が生地の表面に残り黒っぽかったり、茶色っぽかったり、同じ生地の間でも色合いのばらつきが出る場合がありますが、品質には問題ありません。

天然素材でつくられた「生成り(キナリ)」の生地は、その自然な風合いと素朴な味わいが魅力です。
それを形成する「生成り(キナリ)」の生地の不均一な質感や表情に対しては、どうかご寛容になっていただけたら幸いです。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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