生地の森が20周年を迎えるこの節目の年。
私たちが改めて見つめ直したのは、
「なぜ、これを作り続けてきたのか」という問いでした。
その答えのひとつが、この生地──
「洗いこまれたベルギーリネンローン60番手」にあります。
■ この生地に、ブランドの信念が宿っている
2025年9月、生地の森は20周年を迎えます。
その歩みの中で、長年変わらず作り続けてきたリネン生地の代表作。
それが、「洗いこまれたベルギーリネンローン60番手」です。
なぜこの生地が、選ばれ続け、愛されてきたのか。
それは、「品質への妥協なき追求」と「まず手に取って、風合いを感じてほしい」という想いを、ずっと守り抜いてきたからです。
■ 名前に込めた、“感じたままの言葉”

「洗いこまれた──」
この名前には、実は私たちの“感じたまま”の想いが込められています。

このリネン生地は、生機(キバタ)から直接染めるという「ナチュラルダイド(natural dyed)加工」によって仕上げています。下処理を施さず、リネン本来の風合いを活かすこの製法は、他にはないナチュラルな風合いを生み出します。
ただ、まだこうした素朴で自然なリネンが市場に少なかった当時、“ありのまま”の質感は受け入れられにくく、「未完成」と見なされることもありました。
そんな中、スタッフのひとりがこの生地に触れて、思わずつぶやいたのです。
「まるで、洗って使い込んだリネンみたい。初めてなのに、前から使っていたような肌なじみだね!」
── それは決して“洗い加工”をしたわけではないのに、まるで洗い込んだような自然な風合い。
この素直なひと言に、私たちは名前のヒントを見つけました。

“洗いこまれた”という表現は、生地に込めた風合いそのものを言葉にしたもの。
作り手が伝えたかった「肌が感じるやさしさ」であり、
何より、使う人にとっての“最初の感動”だったのです。
だからこそ、この名がふさわしかった。
「洗いこまれた──」この名前は、今も誇りを持って使い続けています。
■ なぜ、27色ものカラーバリエーションが生まれたのか

「洗いこまれたベルギーリネンローン60番手」は、素材そのものの美しさと質感を大切にした結果、
27色もの豊富なカラーバリエーションが誕生しました。
そこには、「使う人それぞれの暮らしに寄り添う布でありたい」という想いがあります。
「洗いこまれたベルギーリネンローン60番手」は、キバタ(生機)から直接染める「ナチュラルダイド (natural dyed)加工」により、リネンのありのままである生成りの独特の質感や色味がそのまま表れ、
どの色もクリアで鮮やかでありながら、どこか“くすみ”を帯びた表情を持ちます。

この“くすみ”は、単なる色の曇りではなく、生きている天然素材ならではの証です。
ピンクやイエローといった明るい色でさえ、アンティークのような落ち着いた風合いになります。
その自然の色味は、まるでヨーロッパの田園風景のように、どこか懐かしく、心をほっとさせる色彩です。
ただし、淡い色の“くすみ”を「汚れ」と感じる方もいらっしゃいます。そのようなご意見があるのも事実です。

それでも私たちは、生地の意味と価値を守るために、素材の個性と自然な風合いを大切にし続けています。
この“くすみ”こそが、「暮らしの中で育つ、生きた布」としての個性であり、誇りでもあるからです。

全27色という豊富なカラーバリエーションは、単なる多色展開ではなく、素材の持つ繊細な表情やニュアンスを伝えるためのものです。
さまざまな色があるからこそ、
”使う人それぞれの感性や暮らしにぴったり寄り添える布に育っていく”──
そんな想いを込めています。
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■「薄くてやわらかい」だけではない、繊細な糸と丁寧な加工の積み重ね

「洗いこまれたベルギーリネンローン60番手」の生地を初めて手にされた方の多くが、そのやわらかさとやさしい肌ざわりに驚かれます。
けれども、本当の魅力はその奥にあります。
このリネン生地には、ベルギー産の上質なフラックスを原料とした60番手の極細リネン糸を使用しています。
さらに、薬品処理を施さず、生機(キバタ)のまま染め上げる「ナチュラルダイド(natural dyed)加工」を採用。
この手法によって、繊細な透け感、自然なシボ(しわ)、そしてふっくらとした弾力が生まれます。



この加工は、効率を重視した大量生産とは真逆のアプローチです。
薬品に頼らず、天然素材の個性を活かしながら、一つひとつの工程を丁寧に重ねていく。
時間と手間を惜しまない、まさに職人たちの技術と感性の結晶です。
当然ながら、手間やコストはかかります。
それでも私たちは、この姿勢を曲げずに守り続けてきました。
それが、生地の森の「ものづくり」のあり方だからです。

ナチュラルダイド (natural dyed)加工に関する詳しい解説はこちら
≫【ファブリックマガジンVol.41】ナチュラルダイド加工とは?
■ 触れるとわかる、“生きている感覚の生地”

「洗いこまれたベルギーリネンローン60番手」の特長は、薄手でありながら、ふっくらとした弾力があり、しなやかで、とろけるような落ち感をあわせ持っていること。
自然なシボ(しわ)や透け感、やさしい光沢が、光や動きに合わせて美しくゆらぎ、豊かな表情を見せてくれます。
フレアやギャザーなど、分量感のあるデザインにもよく映え、まさに「使う人とともに育つ布」。
触れるたびに、そして時を重ねるほどに、肌になじみ、暮らしになじんでいく──
「洗いこまれたベルギーリネンローン60番手」は、“生きた風合い”を持つ、“感覚の布”です。
≫「洗いこまれたベルギーリネンローン60番手」の商品ページはこちら

■ 作り続けるという決意。その裏にあるもの
「洗いこまれたベルギーリネンローン60番手」のような繊細な生地は、決して「効率の良い素材」ではありません。
織りも染めも難しく、傷やムラが出やすいため、完成品として使える割合(=歩留まり)も高くはありません。つまり、たくさん作っても、たくさん届けることができないのです。
それでも私たちは、作り続けてきました。
「本当に良い生地を届けたい」という想いに、ブレることはありませんでした。
触れた瞬間、気持ちがやわらぐ。
時間が経つほど、体になじんでいく──
そんな“育つ風合い”を、ぜひお客様に感じてほしい。
それは創業当初から変わらない、私たちの願いです。
協力工場の職人たちとともに、ひとつひとつの工程に心を込め、時間と手間を惜しまず、“感覚を届ける布”を目指してきました。
その積み重ねこそが、生地の森の20年の歩みであり、私たちの誇りです。

■ 今だからこそ、手にしてほしい理由
現在、「洗いこまれたベルギーリネンローン60番手」は、生地の森のリネン生地の中でも、もっともお手頃な価格帯でご提供しています。
しかし、近年の原材料費や加工コストの上昇により、2025年8月に価格改定を予定しております。
この風合い、この品質でこの価格──
今こそが、最も手に取りやすいタイミングかもしれません。
多くの方にご愛用いただいてきた今だからこそ、
ぜひ一度、その手でふれて、その魅力を感じてみてください。

薄手でありながら、ふっくらとした弾力と、とろけるような落ち感をもつリネン生地。
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■ 関連リンク
▶ 商品ページへ ≫ 洗いこまれたベルギーリネンローン60番手
▶ 特集ページを見る ≫ 生地の森20周年リネン特集
▶生地の森の理念≫わたしたちの生地のこと
■ おわりに ── これまでも、これからも。

「洗いこまれたベルギーリネンローン60番手」は、長い時を経ても、今なお変わらず愛され続けているリネンです。
これから先も、生地の森は“感覚の伝わるものづくり”を、変わることなく続けてまいります。
どうか一度、「洗いこまれたベルギーリネンローン60番手」に触れてみてください。
そのやわらかさと、奥深い風合いが、きっとあなたの感性に、そっと寄り添ってくれるはずです。
それは、単なる「布」ではありません。
時間をかけて育まれた風合い。
使う人の暮らしに、そっと寄り添うやさしさ。
そして、素材と向き合い続けてきたブランドとしての信念。
それらすべてが、丁寧に織り込まれている──
「洗いこまれたベルギーリネンローン60番手」は、まさに“生きた布”です。

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おかげさまで2025年、生地の森は20周年。
特集ページでは、20年の歩みとともに培ってきた想いや、特別な生地をご紹介しています。
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